日本化学会誌(化学と工業化学)
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カルバゾール-アントラセン,カルバゾール-フェナントレン混晶の螢光特性
岩島 聰本多 等澤田 忠信青木 淳治
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1977 年 1977 巻 4 号 p. 451-456

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抄録

市販カルバゾールを無水マレィン酸とクロラニルとともに処理後,1-ペンタノールと金属ナトリウムで処理し,活性アルミナカラムを通して,混入する不純物を除去後,さらに帯域融解して精製したカルバゾールの純度を検討するために,アントラセンおよびフェナントレンを,それぞれこのカルづゾール中に10-3~10-8mol/mol混入した混晶の蒸着薄膜を石英ガラス板につくり,その蛍光スペクトル,蛍光寿命および時間分解スペクトルを室温と液体窒素温度で測定した。
その結果,カルバゾール中に混入するアントラセンは,蛍光スペクトルでは10-7mol/mol,蛍光寿命の時間分解スペクトルでは10-9mol/molまで検出された。また,蛍光寿命では,カルバゾルとアントラセンの蛍光寿命が近いため測定困難であった。
一方,カルバゾール中に混入するフェナントレシは,蛍光スペクトルでは,10-4mol/molまで,蛍光寿命の時間分解スペクトルでは10-6molまで検出された。また,蛍光寿命では10-7mol/molまで,その影響を観測することができた。したがって,上記の精製法で得たカルバゾール中には不純物としてのアントラセンやフェナントレンの混入濃度は,それぞれ,10-9mol/mol以下,10-7mol/mol以下であると考えられる。

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