日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
水溶液中におけるN-メチルマレイミドと二三のメルカプト化合物の反応の動力学
松井 修一相田 博
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 1978 巻 11 号 p. 1521-1525

詳細
抄録

反応温度10~50°C,pH2~6の緩衝液中でN-メチルマレイミド(MMI)のL-システイン(CySH),3-メルカプトプロピオン酸(PaSH)および2-アミノエタンチオール(AeSH)との反応について分光法により速度論的検討を試み,同-基質に対する異なるSH化合物の反応挙動について,その差違を調べた。見かけの二次反応速度定数k。b,は次式で与えられる。
pH7.0,30°CにおけるMMIのCySH,PaSHおよびAeSHとの反応に関する二次反応速度定数ki;は3.30×106,7.59×104および1.10×1C7dms,mol-1,s-1である。pH2。12~5.88,30°Cにおける反応に関する活性化エントロピーは-9g.5~152Jもmol-,Kで大きな負値を示す。これらの結果は本反応の律速段階がチオラートイオンRS口のMMI分子C=Cへの求核付加であり,SH化合物に含まれる陽性アミノ基がMMI分子C=Cの分極または遷移状態のエネルギー低下などにより反応を促進することを示している。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top