日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリスチレンスルホン酸ナトリウムとp-アミノアゾベンゼンおよびその誘導体との相互作用の分光学的解析
安藤 靖子小見山 二郎飯島 俊郎
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1978 年 1978 巻 11 号 p. 1537-1546

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抄録

ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)と非イオン性モデル染料,p-アミノァゾベンゼン(D-1)およびp-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アゾベンゼン(D-III)との水溶液中での相互作用において,染料アゾ基のβ窒素へのプロトン付加体とPSSNaの静電的結合(コンプレックス1)とn個の残基モルに染料1分子結合するコンプレックス2の2種類の平衡系の存在を可視吸収スペクト測定によって明らかにした。コンプレックス1および2の結合定数をおのおのの波長における吸光度変化から算出し,コンプレックス2の結合定数の温度依存から熱力学的諸量を求めた。結合エンタルピーの大きい負の値を,溶解度法から算出した相互作用の熱力学的諸量と比較検討した。PSSNaによる染料の可溶化に,コンプレックス1および2生成によるエネルギー項の寄与のほかに,相互作用にともなうポリマーのコンボメーション変化(粘度測定により)および水の構造変化によるΔH>0の寄与が含まれることが推論された。さらに,PSSNa水溶液の励起および発光スペクトルから,PSSNaのベンゼンモノマー(短波長側)およびダィマーもしくはエキサイマー(長波長側)に帰属される発光が観察され,長波長側の発光はD-1によって消光された。

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