日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリ金属とナフタレンによるポリ塩素化ビフェニルの脱塩素化
奥 彬安福 憲治郎加藤 真市片岡 秀人
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1978 年 1978 巻 11 号 p. 1577-1582

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抄録

ポリ塩素化ビフェニル(PCB,Kanechlor400)をTHF中0°Cでナトリウムナフタレンと反応させると,10分間で完全に脱塩素化した(残留有機塩素10榊4wt%以下)。還元剤中にPCBを滴加する方法とその逆(順および逆滴加法)との比較では,後法がよりすぐれた脱塩素効果を示すことが判明した。完全脱塩素に必要な還元剤量は前法では1.3mol/Cl以上(還元剤調製前のナトリウムとナフタレンの仕込量基準では1.5Cl以上),後法では1.1以上であった。ナフタレン量は減少させることができ,ナフタレンo。65mol1Na1。31c11.oで5時間以内に完全に脱塩素化した。処理後の生成物組成は複雑であり,ビフヱニル生成量はわずかである。ナフタレン除去後の平均分子量は400~600と高く,逆滴加法で増大し,アルコール共存下で減少した。処理後の残留PCB成分は2mol1CI以上の還元剤を使用するとまったく検出されなかったが(電子捕捉型検出器によるガスクロマトグラフ分析),1.5molCl以下では検出されることがあった。またH÷源共存下の処理では多塩素成分が相対的に多く残留した。おもな反応経路に5演2型アリール化反応を考え,これがH÷源存在下および反応終期(脱塩素率95%以上に相当する部分)にはプロトン化により妨げられると推定した。リチウム,カリウムもナトリウムと同様有効であった。

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