日本化学会誌(化学と工業化学)
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メタクリル酸カルシウムの固相における熱オリゴメリゼーション
成智 聖司田中 誠次田村 嘉廣三浦 正敏
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1978 年 1978 巻 12 号 p. 1686-1689

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抄録

メタクリル酸カルシウム(CaMA)を固相で230℃,3時間加熱し,メチルエステルとしたものは二量体として,α-メチレン-δ-メチルアジピン酸ジメチル[2]と三量体として,1-ノネン-2,5,8-トリカルボン酸トリメチル[4]を与えることを既報で報告した。しかし,メタクリル酸カルシウムの150~190℃での加熱ではα-メチレン-γ,γ-ジメチルグルタル酸ジメチル[1]および[2]の2種の二量体を与え,上記の温度範囲では加熱温度の低い方が[1]の生成が増加する。また,200°C以上の加熱では[2]と[4]だけが生成し,[1]はまったく生成しない。150~230℃での加熱処理したメタクリル酸カルシウムのX線回折から[1]の生成はメタクリル酸カルシウムの結晶構造がたもたれている範囲で起こり,[2]の生成は結晶配列がかなり乱れても進行することがわかった。
メタクリル酸カルシウムとイン酪酸カルシウム(CaIB)の結晶を混合したものは,両者の混合割合には無関係に二,三量化が起こる。それに反して,メタクリル酸とイン酪酸の混合物と水酸化カルシウムの中和で得られた塩では,イン酪酸の混合比が大きくなると,二,三量化はいちじるしく減少した。

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