1978 年 1978 巻 12 号 p. 1690-1695
露光後,加熱処理により感度の増幅が可能な光不溶化型感光性高分子の開発を意図して,臭化ビニル(式中ではVBrで表わす)-ビニルアルコール共重合体とp-アジド安息香酸クロリド,1-アジドナフタレン-6-スルホン酸クロリドとの縮合反応により,臭化ビニル単位を有するアジドポリマー[1],[2]をそれぞれ合成した。
[1],[2]とも紫外線照射によりアジド基が光分解してテトラヒドロフランに不溶となった。感度は[1]よりも[2]の方が良好であった。光照射後のゲル分率はアジド組成の増大にともない上昇し,露光段階での感度はアジド組成に依存することがわかった。アジド組成がほぼ同-の場合には,臭化ビニル組成の大きい系の方がゲル分率は高かった。IR測定からアジドポリマーの臭化ビニル単位も光により脱臭化水素反応してC=C結合を生成することが認められ,臭化ビニル単位もゲル分率の増大に寄与すると考えられる。
露光後80℃以上で加熱するとゲル分率の増大が認められ,加熱による感度の増幅が可能であることが確認された。加熱によるゲル分率の上昇は,露光段階での感度が低い系ほど大きくなることがわかった。また電子スペクトル測定からこの熱増感効果は,露光段階で生じた臭化ビニル単位のC=C結合に基づくものと思われる。
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