日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
α,β,γ,δ-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィンを用いる超微量銅の吸光光度定量
石井 一高 英昌奥田 善昭
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 1978 巻 5 号 p. 686-690

詳細
抄録

メソ置換ポルフィリソの1種であるα,β,γ,δ-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィン[T(4-CP)P]の水溶液中における性質,金属イオンとの反応性を検討し,銅(II)-T(4-CP)P錯体のSoret帯を利用するppbレベルの銅の実用的な吸光光度定量法を開発した。銅(II)とT(4-CP)Pとの錯形成反応は室温では遅いが,ヒドロキシルアミン塩酸塩を添加し,pHを5.5付近に調節して100℃で5分間加熱すれば定量的に進み,波長416nmにSoret帯を有する安定な1:1錯体を形成する。検量線は少なくとも銅濃度140ppbまでぼ原点を通る直線となり,見かけのモル吸光係数は421×105l・mol-1cm-1,吸光度0.001に対する感度は0.15ng Cu・cm-2,38.6ppbの銅を9回定量したさいの変動係数は0.18%であった。33種のイオンおよび塩類の影響を検討し,共存許容限界を示した。パラジウム(II)の許容限界は高くはないが,その他の成分はかなりの濃度まで許容できるので,本法は感度のみならず選択性も良好である。本法を家庭用湯わかし器の水の中の銅の定量に応用したところ好結果が得られた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top