日本化学会誌(化学と工業化学)
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アミン存在下における安息香酸とエチレンオキシドとの反応
鎌谷 博善
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1978 年 1978 巻 6 号 p. 840-845

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抄録

二三の有機溶媒中で種々のアミン(A)の存在下にエチレンオキシド(EO)と安息香酸(BA)から2-ヒドロキシエチル=ペンゾアート(C6H5COOCH2CH2OH,以下ESと略記する)を合成する反応について検討した。反応生成物の単離および速度論的結果からエステル化反応はアミソ単独の触媒作用によるのではなく,安息香酸,エチレンオキシドおよびアミンからなる遷移状態を経て生成する第四級アンモニウム=カルボン酸塩(C6H6COON(Rs)CH2CH2OH,以下Qと略記する)が触媒となっていることを明白にした。第四級アンモニウム塩およびエステルの生成反応はそれぞれ次式にしたがって進んでいる。
置換安息香酸とエチレンオキシドとのエステル化反応を検討したところ,置換基のσ値が-0.27から0.78の範囲でHammett則にしたがい得られるρ値は正の値を示す。この結果は,第四級アンモニウム塩,エチレンオキシドおよび置換安息香酸からなる遷移状態において,置換安息香酸とエチレンオキシドとの水素結合の生成がエステル化反応を促進する上で重要な役割を果たしていることを示唆している。

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