日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリ土類金属過酸化物による一酸化窒素の除去
安岡 高志光沢 舜明
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 1032-1036

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抄録

アルカリ土類金属過酸化物の充てん層にガスを通すのみの低濃度一酸化窒素の簡単な除去法についての検討を行なった。除去率は試料ガスの相対湿度に依存し,湿度0においてはアルカリ土類金属過酸化物による一酸化窒素の除去率は低いが,各過酸化物ごとに一定の相対湿度において除去率の極大が現われ,極大を示す相対湿度は過酸化バリウムがもっとも大きく,BaO2>SrO2>CaO2>MgO2の順になっている。アルカリ土類金属過酸化物による一酸化窒素の吸収機構は水と過酸化物が反応して生じた原子状酸素により,一酸化窒素が二酸化窒素に酸化され,これがアルカリ土類金属の水酸化物に吸収されることがわかった。
一酸化窒素を酸化する原子状酸素の発生は相対湿度の増加にしたがって増すけれども水分が多量になると原子状酸素が水分に消費されるために,一定の相対湿度以上においては一酸化窒素の酸化が悪くなるために,一定の相対湿度において除去率の極大が現われるものと推定された。試料ガスの相対湿度に適した吸収剤の選択は一酸化窒素の除去において有効な方法であり,耐用試験では粉末を直径3mmφ,長さ5mmのタブレットに成形した吸収剤30g,一酸化窒素濃度2.5ppm,激25℃,SV400/hrの条件において湿度を調整することにより90%以上の一酸化窒素の除去率が1箇月間持続した。

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