日本化学会誌(化学と工業化学)
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酸ヒドラジド基を有するキレート樹脂の亜鉛イオン選択吸着性
江川 博明前田 弘憲
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 1043-1048

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抄録

酸ヒドラジド基および少量のカルボキシル基を有する巨大網状構造キレート樹脂(RMH)のZn2+選択吸着牲をパッチ法およびカラム法で検討した。
パッチ法では,RMHは([Zn2+]/([Zn2+]+[Ca2+]))>0.6の溶液からCa2+を吸着せず,Zn2+に対して良好な選択性を示すことが認められた。しかし,([Zn2+]/([Zn2+]+[Ca2+]))>0.6の溶液をRMHカラムに通液した場合には,かなりのCa2+がZn2+とともに吸着された。一方,Na+,Zn2+およびCa2+などを含むレーヨン工場排水をRMHカラムに通液した場合には,Ca2+吸着量は少なかった。これはRMHへのCa2+吸着量が排水中のNa+により影響を受けているためと考えられる。RMHのCa2+吸着量は溶液中の硫酸ナトリウムの量の増加とともに減少し,また吸着時の流速を遅くすることによっても減少した。Zn2+濃度445mg/l,Ca2+,Mg2+37mg/l(Ca2+として),総塩濃度18.2g/lの排水をpH6.7において空間速度15で通液した場合の亜鉛漏出容量は22.2g/l-Rであった。この値はさきに報告したポリエチレンポリアミン型キレート樹脂の亜鉛漏出容量13.2g/l-Rより大きい。吸着したZn2+は2~3N硫酸を通液することにより100%溶離できる。回収した硫酸亜鉛溶液中には不純物として数パーセントの硫酸カルシウムが含まれている。

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