日本化学会誌(化学と工業化学)
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BaCl2・2H2OおよびSrCl2・6H2Oの脱水反応の加圧熱分析法による検討
本間 恒行山田 哲夫
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 991-996

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抄録

加圧下で使用できる熱てんびんおよび示差熱分析装置を用いてBaCl2・2H2OおよびSrCl2・6H2Oの熱分析を行ない,脱本反応過程について検討した。
実験はN2下1~40atmの加圧下でTGおよびDTA曲線を測定し,圧力による影響について考察した。
BaCl2・2H2OではTG曲線が1~40atmでは2段階であるが,40atmでは高温側の1分子の脱水が1/2分子ずつ二つにわかれている。DTA曲線では常圧では二つの吸熱ピークが認められるが,4atm以上の圧力下では三つまたは四つのピークがある。SrCl2・6H2OではTG曲線は常圧では3段階,圧力下では2段階であるが,40atmでは2段目の脱水が1/2H2Oの重量減少に相当している。DTA曲線では五つの吸熱ピークが認められた。この実験で用いた水和物の脱水反応の共通的な圧力の影響とし宅は,圧力が高くなるとTG曲線は高温側に移行するが,DTA曲線では圧力が高くなっても位置が移行しないいくつかの吸熱ピークがあり,これらの吸熱ピークに対応するDTGピークが存在していない。これらの位置が変わらないDTAピークは結晶水がH2O(l)として解離することによるものである。

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