日本化学会誌(化学と工業化学)
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塩基性炭酸マグネシウムの熱分解
沢田 豊植松 敬三水谷 惟恭加藤 誠軌
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1979 年 1979 巻 1 号 p. 57-64

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抄録
塩基性炭酸マグネシウム(ヒドロマグネサイト4MgCO3,Mg(OH)2,4H20とネスキオナイトMg,CO3,3H20)の熱分解を種々の二酸化炭素分圧(Pcot)の雰囲気で研究した。脱二酸化炭素分解はPco,によって大きく影響される。ヘリウム雰囲気ではただ-つの二酸化炭素放出ピークが観察される。ぞco,≧0.2at=mでは3段階すなわち約400~500,520および530~650℃に分解が進行する。第2段階では二酸化炭素が急激に放出され,その量は熱分解で放出する二酸化炭素の総量の5~10%であり,同時に鋭い発熱現象が起こる。そのピーク温度はPc。,とは無関係である。第1および第3段階ではゆるやかに放出され(吸熱反応),Pco,が増加するとピークは高温側に移行する。第2段階の直前(500℃)に急冷した試料は無定形の粉末X線回折図形を示すが,直後(525℃)からのそれはMgCO3の回折図形を示す。発熱は無定形MgCO3の結晶化に起因し,その熱量の-部が結晶化したMgCO3を熱分解して二酸化炭素を急激に放出すると考えられる。
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