日本化学会誌(化学と工業化学)
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アンモニアアルカリ性溶液中のニッケルのLIX64Nによる溶媒抽出
奥脇 昭嗣工藤 勝伊藤 宏岡部 泰二郎
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1979 年 1979 巻 1 号 p. 65-70

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抄録
マンガンノジュールの硫酸浸出液から銅を回収後,溶液をアンモニアアルカリ性として不純物イオンを除去し,亜硫酸塩存在下,ニッケルをLIX64Nにより抽出分離する方法について研究した。
ニッケル,コパルトおよび亜鉛の単独溶液から各金属(69/1)の抽出,また混合溶液(Ni6g/l,coo.159μ,zn0.2g/l)からのニッケルの抽出をpH7~10,相比(0/A)1,温度30。c,ふりまぜ時間2~60分で行ない亜硫酸ナトリウム添加の影響について調べた。抽出剤はLIX64Nを白灯油に溶解し15vol%に調製した。
単独溶液からの抽出では亜硫酸ナトリウムを添加しない場合,ニッケルとコバルトの抽出率はpH9で約80%とほぼ等しい値となった。亜鉛はpH8で約40%が抽出された。亜硫酸ナトリウムを0.5molμ添加した場合,ニッケルの抽出率はいくぶん上昇したが,コバルトは最高でもpH9.5で60%しか抽出されず,亜硫酸ナトリウムによりコバルトの抽出が抑制された。亜鉛の抽出率はpH9以上で無添加の場合よりいくぶん上昇した。
混合溶液からの抽出では亜硫酸ナトリウムを添加しない場合,pH7~10でコバルトの抽出率は85%以上と大部分が共抽出され,有機相中のCo/Ni(重量濃度比)(Co/Ni)。,g.の最小値はo.03であった。亜鉛はpHが低い場合は共抽出されたが,pH8.5以上ではほとんど抽出されなかった。亜硫酸ナトリウムを添加した場合は,コバルトと亜鉛の共抽出は抑制されその抽出率はともに10%以下であったが,ニッケルの抽出率は低くとも73%,(Co/Ni)org.は0.003以下となり,ニゾヶルのコバルトと亜鉛に対する選択性は非常に向上した。
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