日本化学会誌(化学と工業化学)
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焼結炉排ガス中のダスト成分により被毒した脱硝触媒の再生
西嶋 昭生栗田 穣佐藤 利夫清住 嘉道萩原 弘之上野 晃史藤堂 尚之
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1979 年 1979 巻 2 号 p. 276-282

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抄録
V2O5-Al2O3およびFe2O3-Al2O3触媒を用い,アンモニアで焼結炉排ガス中の窒素酸化物ガスを接触還元し,付着ダストにより活性が低下した触媒の再生方法,主として加熱および熱水処理による触媒粒表面および内部での付着ダスト成分の組成変化をイオンマイクロアナライザー,蛍光X線分析装置,およびX線回折装置で測定し,これが活性回復率に与える影響について検討を行なった。
その結果,加熱処理法では十分な活性回復率が得られないことがわかった。そこで熱水処理法を試み,触媒被毒成分であるK成分の付着が粒表面層(数10μm以内)にかぎられるV2O5系触媒では1時間の80℃熱水処理によりダスト成分を取り除くことができ,活性も回復することがわかった。しかし,熱水残液中にV成分の溶出が認められたので,熱水処理にさき立って加熱しV成分を不溶化することが望ましいことがわかった。
一方,K成分が触媒粒内(100μm以上)まで侵入しているFe2O3系触媒では,熱水処理でも十分な活性回復率を得ることができなかった。これは,付着ダスト成分を除去するのに,V2O5系触媒の場合とくらべ長時間(4~5時間)の熱水処理を必要とし,硫酸塩化した活性成分が溶出することに起因する。そこで550℃加熱後,熱水処理を行なう再生方法を試みたところ,活性成分を溶出させることなく付着ダスト成分を除去できることがわかり,良好な活性回復率が得られた。また加熱によりK成分が粒内から粒表面へ濃縮されることも,熱水処理によるK成分の除去に好影響を与えていることがわかった。
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