日本化学会誌(化学と工業化学)
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タイヤ炭化物の水銀化合物除去特性
浅見 雄作高木 亮一郎浦野 紘平
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1979 年 1979 巻 2 号 p. 283-288

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抄録
廃タイヤを窒素中,500~800℃で熱分解し,得られた炭化物の塩化水銀(II)(HgCl2),塩化メチル水銀(II)(CH3HgCl)および酢酸フェニル水銀(II)(PhHgCH3COO)の除去特性について調べた。これらの水銀化合物の除去速度は活性炭による吸着速度とほぼ同じで非常に速かった。平衡除去量を測定したところ,2~80mg/lの濃度範囲でほぼ実験的にFreundlich型等温式で表わされることがわかった。熱分解温度により除去能力の異なる炭化物が得られ,600℃で得た炭化物がいずれの水銀化合物に対してももっともよい除去能力を示した。この炭化物を10-3,10-1および12Nの塩酸で処理したところ,塩酸処理濃度が大きいほど,HgCl2,の除去能力はいちじるしく,またCH3HgClの除去能力もかなり低下した。一方,PhHgCH3COOの除去能力は10-3N塩酸処理により,かえって向上した。得られた炭化物の灰分はおよそ10%であって,約4%の硫化亜鉛を含有し,HgCl2およびCH3HgClの除去と同時に亜鉛が溶出した。このときの亜鉛溶出量の水銀除去量に対する原子比は,HgCl2除去において約0.6であり,CH3HgCl除去において約0.4であった。これから,HgCl2およびCH3・HgClは吸着および硫化亜鉛と(1)と(2)式で表わされる化学反応により除玄されるが,PhHgCH3・COOは前者のみにより除去されると考えられた。
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