日本化学会誌(化学と工業化学)
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ゲルマニウムフッ素金雲母(KMg3AlGe3O10F2)一フッ素四ゲルマニウム雲母(KMg2.5Ge4O10F2)系の固溶性
平尾 穂小林 孝酒井 康司川浦 昇
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1979 年 1979 巻 6 号 p. 727-732

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抄録

固溶体を溶融法により合成した。この固溶体を粉末X線回折法,赤外吸収スペクトルにより検討し,さらに固溶体の屈折率,比重および熱膨張を調べ,つぎの結果を得た。
(1)固溶体の面間隔はa,bおよびc*軸方向ともフッ素四ゲルマニウム雲母の含有量が増すとともに連続的および直線的に増し,その変化はVegardの法則とよく一致した。すなわち,本系は完全固溶系をなし,KMg2.5+0.5xAlxGe4-xO10F2(ただし0×1)雲母が生成することを見いだした。(2)端成分間の面間隔変化率はaおよびb軸方向にくらべてc*軸方向がいちじるしく大きく,それぞれ0.23,0。22,0.38%であった。(3)赤外吸収スペクトルはほとんどGe-O吸収帯に帰属すると考えられるが,フッ素四ゲルマニウム雲母の含有量が減少するにともない615cm-1付近にAl-O-Geの振動と思われる吸収帯が新しく出現し次第に鮮明になる。(4)屈折率および比重もモル組成と一次関数の関係があり,フッ素四ゲルマニウム雲母の含有量が増すにしたがい,それぞれ大きくなる。(5)熱膨張率は,各軸方向ともフッ素四ゲルマニウム雲母の含有量が増すにつれて連続的に増す。また各軸方向における熱膨張率はa<b<c*軸の順に大きくなる。

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