日本化学会誌(化学と工業化学)
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3-シクロヘキセン-1-オール誘導体のOH伸縮振動スペクトルと立体配座
花屋 馨工藤 英昭郷家 一夫今泉 真
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1979 年 1979 巻 8 号 p. 1066-1070

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抄録

3-シクロヘキセン-1-オールおよび1-アルキル-3-シクロヘキセン-1-オール誘導体の立体配座を検討する目的で,それらの赤外部におけるOH伸縮振動スペクトル(〓OH)を四塩化炭素の希薄溶液で測定した。3-シクロヘキセン-1-オール誘導体〔1〕~〔3〕では,一般に3612~3615と3623~3628cm-1に2本の吸収を示したが,ヒドロキシル基の隣接位にイソプロピル基をもつトランス体〔4〕は,そのほかに3634cm-1にも吸収を示し,シス体〔5〕では,3601,3623および3634cm-1の3本の吸収を示した。また,1-アルキル-3-シクロヘキセン-1-オール誘導体〔6〕~〔10〕では.一般に3599~3603と3616~3619cm-1に吸収を示したが,ヒドロキシル基の隣接位にイソプロピル基を有し,それがヒドロキシル基とトランス〔11〕の場合には3615と3624cm-1に吸収が見られた。以上の結果から,これらの化合物はおもに半イス形の立体配座で存在し,ホモアリル位に置換基を有する場倉はアキシアル(αx)よりエクアトリアル(eq)配座が安定であり,そのeq配座への配向性はヒドロキシル基よりアルキル基が,また,メチル基よりイソプロピル基が大きく,立体的に余儀なくαx配座をとるヒドロキシル基は二重結合のπ電子と分子内相互作用しているものと推定した。

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