1979 年 1979 巻 8 号 p. 961-968
実験室系断熱消磁を応用した核四重極共鳴(NQR)スペクトロメーターは他のNQR測定法と比較して非常に高感度であるが消磁技術に問題があり多用されるにいたっていない。今回試作したスペクトロメーターは試料の移動をパルスモーターを使った機構を採用し,実験全体を自動的に行なうためのパルスジェネレーターを用いた。水晶発振による時間基準とパルスモーターによる消磁で毎周期の条件が一定となりスペクトルのベースライン(毎回測定されるNMRの信号強度そのものがベースラインとなる)は安定した。これによってプロトン緩和時間の長い試料における14N-NQRは容易に観測できた。しかし緩和時間の短いものに対しては依然消磁時間の問題が残った。
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