抄録
亜硝酸エチル(CH3CH2O15NOおよびCD3CD2ONO)のマイクロ波スペクトルを8.5から32GHzの領域で帰属して3種の回転異性体-cis-trans[τ1(CO-NO)=0°,τ2(CC-ON)=180°],cis-gauche[τ1=0°,τ2=90°],trans-gauche(τ1=180°,τ2=90°)-の回転定数を得た。Turnerによってすでに決定されているノーマル種(normalspecies)の回転定数と合わせて,回転定数に対する最小二乗法の解析から亜硝酸エチルのr0構造を決定した。cis-gauche形の二面角∠CC-ONは96.5°,trans-gauche形では86.0°である。またcis-gauche形の結合角∠CONはtrans-gauche形より約3°大きく,結合角∠ONOに関してはtrans-gauche形より約10°広がっており,アルキル基と末端酸素原子の間にかなりの立体効果があることが示された。