1980 年 1980 巻 12 号 p. 1813-1818
銀添加チタン酸バリウムの半導体化の機構を明らかにした。この系には少量の金属銀が遊離していたが,この電導性は金属銀によるものではなく,チタン酸ノ句ウム自体によるものであることを確認した。銀添加チタン酸バリウム半導体には希土類添加チタン酸バリウムと同様のPTCR(Positive temperature coefficien to fresistance)異常が認められた。このほかSeebeck効果,電極の種類による見かけの抵抗の差異などから,この系は希土類添加チタン酸バリウム半導体と本質的に同じ典型的なn型半導体であることが示された。銀添加チタン酸バリウムには原子価の小さいAg+ の置換固溶を補償するために発生したextrinsicな酸素空孔と熱的な解離により発生した空孔とが含まれていた。電導度の測定と酸素拡散の灘定により前者は後者にくらべて多量に存在するが,電導性は後者に起因していることが確かめられた。さらに,銀添加チタソ酸バリウムでは1300。C以上で酸素の解離が起こり,その状態から急冷すると解離により発生した酸素空孔が凍結され半導性を示すこと,1200。C付近の再加熱により凍結されていた空孔が消滅し半導性が失われることなどを明らかにした。
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