1980 年 1980 巻 12 号 p. 1844-1849
2-ハロブタンおよび2-ブテンの塩素置換および塩素付加反応を,塩化銅(II)を用いて気-固反応系で行ない,反応の立体化学,位置・立体選択性を検討した。パルス法による量論反応を主として調べたが,プテンへの塩素付加反応については,二元金属塩化物を用い塩化水素と酸素を再酸化剤とする触媒的なオキシ塩素化が可能であることを示した。
2-ハロブタンの場合,100℃付近では酸塩基的なハロゲン交換,脱ハロゲン化水素が主反応であるが,反応温度が上昇するにしたがい,3位水素が塩素と置換するようになる。さらに温度をあげると2,3-ジクロロブタンが生成する。塩素置換は3位のみに起こり,かつ,threo体が優勢に生成する。ブテンは,200℃付近で容易に塩素付加され,その立体化学はほぼ100%アンチ付加であった。
以上の立体化学,位置・立体選択性は,環状ハロゲン橋かけ中間体を経由する反応図式において,均一系で安定なE体ではなく,固体表面との立体反発の小さいZ体が安定であるとして,合理的に説明された。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。