日本化学会誌(化学と工業化学)
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Cr(III)-hedta錯体を触媒として用いた硝酸イオンの電解分析
白樫 高史栗山 光央柿井 一男
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1980 年 1980 巻 12 号 p. 1907-1912

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抄録

硝酸イオンがCr(II)-hedta 錯体によりすみやかに還元されることを利用し,Cr(III)-hedta錯体を触媒として水溶液中のNO3-を電解還元した。このときに要する電気量を灘定した結果,硝酸性窒素として0.28~8.4mg/l まで良好な直線関係が得られた。また,電解の初期条件を種々変化させた場合にも同一の結果が得られ,1.4mg/l の硝酸性窒素を分析するに要する時間は15分程度であった。本法ではNH4- の影響はまったくなく,NO2-も5mg/l程度まで影響を与えなかった。また金属類ではCa2+2+2+,Ni2++,Pb2+,Cu2+は5mg/lまで影響がなかった。尿素,グルタミン酸,クエン酸などは200mg/lまで影響しないが,EDDAは200mg/lで負の誤差を与えた。AsO2-は少量でも正の誤差を与えるがAsO23-は影響がなく,SO32-営も5mg/l まで影響がなかった。さらに,河州水,下水処理水について他の方法と比較した結果,よい一致がみられた。これらの結果から,本法は妨害物質の影響も少なく,水溶液中のNO3-を分析するための簡便かつ有効な方法であると結論した。

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