天然鉱石を主体として調製した触媒を用いて重質油分解に関する検討を行ない,ラテライト触媒がつぎのような特徴を有していることを見いだした。(i)ラテライト触媒を用いて重質油を分解すると,他の触媒に比較してコーク収率が高い。(ii)コーク付着ラテライト触媒を窒素気流中で加熱すると,一酸化炭素および二酸化炭素を含有するガスを放出し,触媒中の酸化鉄は容易に還元される。ラテライト触媒の上記特性を重質油分解プロセスに応用するため以下の検討を行なった。1.22~8.75wt%のコークを付着させた触媒を窒素気流中で加熱すると触媒中の酸化鉄はコーク付着率に応じて還元された。その還元された触媒とスチームを反応させることによりスチームアイアン反応によって水素が発生することを確認した。また,触媒上のコークを部分燃焼し,コークに対する酸素の比率を制御することによって,酸化鉄の還元と同時に重質油分解に必要な熱量を得ることが可能であることが判明した。これらの結果に基づいて,重質油を分解すると同時に水素を発生させるプロセスを提案した。
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