日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
中温における二酸化炭素からの一酸化炭素製造
佐々木 和夫九内 淳堯妹尾 菊雄河野 之伴
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 1980 巻 6 号 p. 966-973

詳細
抄録

 溶融炭酸塩を反応媒体に用い,二酸化炭素と炭素から一酸化炭素を生成する反応を700℃付近で行なわせることを試みた。それにさき立って数種の炭酸塩と炭素との反応を試みたところ,いずれの塩でも同温度での単純な固/気反応よりはるかに速い速度で一酸化炭素発生がみられた。反応はM2CO3+C=M2O+2COと考えられるが,この反応は熱力学的には自発反応ではない。しかし.炭酸塩そのものの熱分解が既往の熱化学値以上に進行するので,熱分解で生じた二酸化炭素が一酸化炭素に転化する経路をとるものと考えられる。
 三元アルカリ金属炭酸塩の融体中に底部から二酸化炭素を供給し融体中に分散している炭素粒と反応させることにより気体二酸化炭素からの連続転化実験も行なった。容易に定常状態が得られるので,単純な速度解析が可能であり,擬一次速度定数を決めることができた。本報の結果は,実用反応としてまだ不十分であるが改善の可能性が大きい。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top