1981 年 1981 巻 5 号 p. 755-761
従来,RNA合成の阻害剤と考えられていたペントピラニンCをウニの受精卵に与えたところ,5mmol/l以上の濃度で第1卵割を阻止した。また,ヒトデの未威熟卵に卵成熟誘起物質,1-メチルアデニン1μmol/1とともに投与すると,5mmol/l以上の濃度で卵の成熟的減数分裂過程が阻害された。ウニの初期胚およびヒトデ卵の成熟過程ではRNA合成はほとんど行なわれないので,ペントピラニンCの細胞分裂阻害作用は核酸合成阻害に帰することはできない。
ウニ卵割およびヒトデ卵成熟はいずれもタンパク質の新生に依存しているので,ウニ胚におけるペントピラニンCのタンパク質合成阻害活性を調べたところ,細胞分裂を阻害する濃度で合成の阻害が認められた。
これらの知見から,ヒトデ卵とウニ胚を用いることによって,核酸合成阻害剤やタンパク質合成阻害剤を容易に分別しうることが明らかとなった。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。