日本化学会誌(化学と工業化学)
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臭素ランプ内のタングステンフィラメント中微量元素の高温蒸発とW-Br化学サイクル
伊藤 紀子笹本 忠佐多 敏之
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1982 年 1982 巻 4 号 p. 562-568

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抄録

臭素ランプの高能率化,長寿命化などの性能向上を目指す技術開発の一環として,フィラメント材料であるドープタングステン線に存在する微量不純物元素の高温蒸発と,これら不純物がハロゲンサイクルにおよぼす影響について検討した。スパークイオン源質量分析法により,タングステン線素材,成形したフィラメントコイル,3分間点燈(フィラメント温度2750℃)後のフィラメントコイル,25時間点燈後のフィラメントコイ川および気相成分の凝縮体を分析試料として,不純物元素含有率の変化を測定した。25時間点燈後の不純物元素蒸発量はFe(32.3mol・PPm/W),Al(24.5),Ba(14.5),Ca(13.3),Na(8.8),Sr(5.7)であった。この中でBa,Ca,Srは自由蒸発機構をとると推察された。実験値に基づいて,W,Fe,Al,Kの臭化物,酸化物および臭化酸化物を成分とする気相緯成を800K(管球壁)から3000K(フィラメント)までの温度範囲で計算した。数十mol・ppm/wの不純物の存在はW-Br-O化学サイクルを移行させるほどめ影響は与えなかったが,FeBr2とKBrは管球内に均一に存在し,AlはAlBr3(2200K以下)⇔AlBr(2200K以上)の化学平衡にしたがって変化している結果が得られた。

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