メラミン製造のさいの副生成物であるアンメリン,アンメリド,メラム,メレムのヒドロキシメチル化反応を,紫外吸収スペクトルの極大吸収波長がヒドロキシメチル基の導入数に対応して長波長側に移行する現象を利用,して追跡検討し,ついで各試料のホルムアルデヒドに対する反応性と塩基および酸解離定数の関連性について考察した。
(ヒドロキシメチル)アンメリンの置換したヒドロキシメチル基の数は,反応溶液中では最高4,析出物では最高2を示し,(ヒドロキシメチル)アンメリドは反応溶液中では最高2,析出物では最高1を示した。メラムは反応溶液中,析出物いずれも存在するアミノ基の水素原子全部がホルムアルデヒドと結合し,八官能性を示した。メレムは反応溶液中ではホルムアルデヒドに対し六官能性を示すが,生成した(ヒド律キシメチル)メレムはヒドロキシメチル基の一部を解離して徐々に析出した。析出物の置換したヒドロキシメチル基の数は3に近い値を示した。すなわちアンメリン,アンメジド,メラム,メレムはいずれも存在するアミノ基の保有する水素原子の数まで,最大値としてホルムアルデヒドを付加するが,(ヒドロキシメチル)メラム以外の化合物の析出物状態で得られる試料における置換したヒドロキシメチル基の最高数は,すべてのアミノ基の水素原子数の半分あるいはそれに近い値に相当する結果を得た。
アンメリン,アンメリド,メラム,メレムにメラミンを加え,これらの化合物をホルムアルデヒドに対する官能性から分類すると,固体状態で得られるヒドロキシメチル化物の置換したヒドロキシメチル基の最高数がアミノ基の水素原子総数と等しいグループと,その数値が1/2ないしはそれに近い値をとるグループとに二分できる。これらの結果を各化合物の酸解離定数pK
a,塩基解離定数pK
bと対比してみると,pK
b値が大きくまたpK
a値の観測される化合物は,そのヒドロキシメチル化物の置換したヒドロキシメチル基の最高数がアミノ基の水素原子総数の1/2の値をとることがわかった。
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