日本化学会誌(化学と工業化学)
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銀一酸化銀電極の電極挙動におよぼず塩化ニッケル(II)および塩化コバルト(II)の影響
山本 善史平松 恭輔白砂 哲治
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1982 年 1982 巻 7 号 p. 1123-1128

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抄録

アルカリ電池の正極板としての銀電極の容量増加を目的として,電解質であるアルカリ溶液中に塩化ニッケル(II)または塩化コバルト(II)を微量添加したとき,銀電極の酸化・還元挙動におよぼす影響について検討し,つぎのような結果を得た。
1)充放電曲線から,塩化ニッケル(II)または塩化コバルト(II)いずれの添加によらても,銀電極の容量が顕著に増大することが認められた。なかでも,塩化ニッケル(II)添加の場合の方がより顕著に増大した。2)電流一電位曲線から,塩化ニッケル(II)または塩化コバルト(五)のいずれの添加によっても,酸化第1・第2および還元第1・第2のすべてのピークが顕著に増大することが認められた。3)電子顕微鏡による電極表面状態の観察から,塩化ニッケル(五)または塩化コパルト(II)を添加した極板では,活物質の結晶微細化作用が認められた。それゆえ,各塩化物添加による電極の容量増加は,この結晶微細化作用と関係があるものと考えられる。これは,塩化ニッケル(II)添加の場合には, ニツケ爵貼遍(II)塩から形成されるコ旨イド状粒子の充放電時における吸着・脱着により,また塩化コバルト(II)の場合には,コパル軸ト(II)塩からのイオン状粒子の充放電時における吸着と電析・溶解によるものと思われる。

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