日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルキル側鎖とヒドロキシル基を有ずるクラウンエーテルの合成とその界面活性および相間移動触媒作用
猪熊 精一萩原 裕司柴崎 勝巳桑村 常彦
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1982 年 1982 巻 7 号 p. 1218-1222

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抄録

ポリ(オキシエチレン)鎖を有するジエステル〔2〕の分子内縮合によりアシロイン型の大環状化合物〔3〕を合成した。〔3〕とGrignard試薬とから一系列の新しい界面活性クラウンエーテル〔Cn-AC(m)〕を合成した。Cn-AC(m)について,曇り点,臨界ミセル濃度(CMC),CMCにおける表面張力(γCMC)および1-プロモオクタンとアルカリ金属ヨウ化物の飽和水溶液との反応における触媒効果を調べ,鎖状ポリ(オキシエチレン)系非イオン活性剤〔S-n(m)〕,および同炭素数のアルキル鎖と同数のヘテPt原子を環内にもつ既知のクラウンエーテル〔4〕~ 〔8〕のデータと比較した。その結果,Cn-AC(m)は比較クラウンエーテルより高い曇り点,高いCMCおよび低いγCMOを示す点でむしろS-n(m)に近く,これらの値は,アルキル鎖長とヘテロ原子数に依存することが明らかになった。Cn-AC(m)は,比較クラウンエーテル〔4〕および〔7〕と同等の高い触媒効果を示し,さらに,アルカリ金属イオン種に対する選択性は,他のクラウンエーテルよりすぐれていた。

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