日本化学会誌(化学と工業化学)
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ベンゼンチオール存在下のネロールの異性化
村田 淳雄土屋 脩二鈴木 秀雄
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1982 年 1982 巻 7 号 p. 1223-1227

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抄録

ベンゼンチオール存在下のネロールの異性化について研究した。ネロールに少量のベンゼンチオールとラジカル開始剤を添加して80℃ に加温すると,シスートランス異牲化と2-エン-1-オール-ケト異性化が起こり,ゲラニオールおよびシトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクテナール)が生成した。一般にシスートランス異性化の方がずっと速かったが,シス-トランス異性化とアルデヒドへの異性化の割合はチオール量と溶媒に大きく影響された。ネロールの場合と同様にして,ゲラニオールからもネロールとシトロネラールが生成した。消費ネロールおよびゲラニオールに対するシト探ネラールの選択率は高く,80%以上で条件によってはほぼ定量的であった。アルカンチオールではシスートランス異性化は起こったが,シトロネラールはまったく生成しなかった。シスートランス異性化能もベンゼンチオールにくらべてずっと小さかった。ベンゼンチオール存在下の他のβ,γ-不飽和アルコールのアルデヒドへの異性化についても検討した。2-ブテン-1-オールおよびtrans-2-ヘキセン-1-オールはそれぞれ対応するアルデヒドに異性化したが,3-フェニル-2-プロペン-1-オールと2-メチル-2プロペン-1-オールは反応しなかった。

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