1982 年 1982 巻 7 号 p. 1241-1245
Fourier変換赤外ATR法によりポリエチレン表面に吸着したアルブミン,γ-グロブリンの吸着量および二次構造の変化をアミド1パンドを用いて解析した。
1)アルブミン,γ-グロブリンの存在量とピーク強度の関係を求めるため,重水溶液を用いて透過法によりスペクトルを測定した結果,両タンパク質とも単位重量あたり等積分強度を示すものであることがわかった。2)さらに上記関係は吸着状態においても適用されるものと仮定し,ポリエチレン表面への両タンパク質の吸着量を,1251標識化アルブミンを用いた放射化学分析法による結果を併用して検討を行なった。すなわち吸着タンパク質のリンス法を変えたところ,両タンパク質とも層流リンス法と渦流リンス法とでは吸着量に差が生じた。3)溶液状態と吸着状態とのスペクトルの比較を行なった結果,とくにγ-グロプリンではアミド1バンドの形状がいちじるしく異なり,吸着状態では不規則構造の存在が増加したものと推定されるバンド形状を示した。以上の結果,ポリエチレン上のアルブミン,γ-グロブリンの吸着量の推定が可能となり,これから,本方法は各種材料上の吸着タンパク質の解析に,重要であるとともに今後一般的に適用可能な測定法であることが明らかとなった。
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