日本化学会誌(化学と工業化学)
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トリフェニルボスフィンー四塩化炭素存在下でのオキシランまたはケトンとカルボン酸からのエノールエステル合成
橋本 静信古川 功矢ケ碕 琢也
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1982 年 1982 巻 9 号 p. 1512-1517

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抄録

トリフェ二ルボスフィン-四塩化炭素系試剤の存在下におけるオキシランまたはケトンの遊離カルボ酸による直接エステル化反応について研究した。生成物はいずれもエノールエステル〔2〕で,副ン生成物とカルボン酸が脱水された酸無水物を若干量生成した。
オキシラインとカルボン酸の反応では,アセトニトリルのよう極性の高い溶媒を用いると他の溝にくらべ高収率でエステルが得られた。しかるに,ケトンとカルボン酸の反応では,エステルの収率は溶媒の極性による影響を受けなかった,。オキシランに対してトリフェニルボスフィン-四塩化炭素を過剰に使用してもエステルの収率ほほとんど増加しないが,カルボン酸を過剰にするといちじるしく収率は増加した。しかし,カルボン酸の酸性度とエスデルの収率の間には相関関係が認められなかった。また,エノール化し難いケトンとカルボン酸の反応ではエステルは生成しなかった。本反応は,トリフェニルホスフィン-四塩化炭素とカルボン酸より生じるアシルオキシトリフェニルホスホニウム塩〔4〕に対するナキシランまたはケトンの求核攻撃を含む過程で進行すると考えた。

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