日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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1982 巻, 9 号
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  • 百瀬 義広, 宮田 和俊
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1435-1442
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    摩砕された砂粒の熱刺激エキソエレクトロン放射(TSEE)グロー曲線を一種のガイガーカウンターを用いて測定した。TSEE曲線の測定で計数された電子数(総計数値)は摩砕砂粒の粒径が小さくなると増大したが,微細化されすぎると減少した。
    カウンターガス中の有機物と同じ種類の有機物蒸気中で摩砕された砂粒に対しても同様の順序が得られた。この順序は有機物の官能基のプロトン親和力のそれとよく対応し,エキソエレクトロン放射(EEE)は有機物の官能基と損傷を受けた砂粒の表面ヒドロキシル基との間の水素結合の形成に起因すると考えられる。n-C3H7NH2と(n-C3H7)2NHの摩砕雰囲気は脱気下で摩砕された場合とほとんど等しいか,あるいはもっと大きな総計数値を与えた。摩砕後砂粒を空気中に放置すると少しずつ形の異なるグロー曲線が得られた。カウンターガス中で摩砕中の砂粒を加熱冷却したときには低温でのみ非常に強いEEEが観測された。これはカウンターガス中の有機物の吸着がEEEに重要な役割を演ずることを強く示唆する。
  • 小坂 孝二, 岡崎 進
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1443-1448
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    原料および調製条件の異なるTiO2担体に,含浸法によりモリブデンを担持させた。さらにTi[OCH(CH3)2]4からのTiO2のモリブデン含浸前後の焼成温度の違いによる活性,選択性への影響を調べた。とりあげた反応は,流通法でのプロピレンの水和・酸化脱水素(190℃),2-プロバノールの分解(190℃,120℃)およびパルス法でのシクロブ群パン異性化反応(250ど)などである。その結果,つぎの知見が得られた。1)TiO2-MoOx触媒において,SO42-は酸牲を強めるが,酸化脱水素活性を低下させる。2)TiO2の焼成温度が低いほど表面ヒドロキシル基が多いが,このヒドロキシル基量とプロピレンの水和・酸化脱水素反応率の間に直線関係が認められる。3)低温焼成のTiO2にモリブデンを担持させると,TiO2やMoO3単独にくらべて熱的に安定となる。4)TiO2-MoOx触媒では,水蒸気の存在によってLewis酸点がBrOnsted酸点に転化する。
  • 加藤 俊作, 菅披 和彦, 坂根 幸治, 高井 信治, 高橋 浩, 梅沢 義雄, 板垣 孝治
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1449-1454
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    海水ウラン採取用繊維状吸着剤の開発を目的に,市販のアクリル繊維(7種類)にヒドロキシルアミンを反応させて,アミドキシム基を有する繊維(以下AO繊維と略記する)を調製した。赤外吸収スペクトル法による検討の結果,AO繊維では2250cm-1のシアノ基による吸収が減少し,たに3400,3320,1650,930cm-1に吸収が認められたことから,アミドキシム基の生成が確かめ新られた。AO繊維について,酸およびアルカリ吸着量ならびに酸加水分解によるヒドロキシルアミンの生成量の測定結果から,アミドキシム基以外の官能基としてヒドロキサム酸の存在を推定した。アミドキシム型の樹謄の場合は酸吸着量と銅吸着量が一致し,銅吸着量はアミドキシム基量と対応していたが,AO繊維の場合は酸吸着量と銅吸着量とは一致せず,酸吸着量とアルカリ吸着量の和と銅吸着量との間に直線関係が認められた。同一原料アクリル繊維を用いた場合,銅吸着量の多いものほどウラン吸着量は大きい値を示したが,原料アクリル繊維が異なるとウラン吸着量と銅吸着量との間に相関は認められなかった。AO繊維中,ウラン吸着量の大きいものは7日間に海水から100μg/gのウランを吸着した。
  • 加藤 俊作, 菅坡 和彦, 坂根 幸治, 高井 信治, 高橋 浩, 梅沢 義雄, 板垣 孝治
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1455-1459
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アクリル繊維にヒド搾キシルアミンを反応させて得られたアミドキシム型の繊維(以下AO繊維と略記する)のウラン吸着性の改善を目的としてアルカリ処理法を検討した。
    アルカリ処理(1mol/lNaOH)による官能基の変化を赤外吸収スペクトル法および酸・塩基吸着量ならびに酸加水分解によって出成したヒドロキシルアミン量の測定結果から,アミドキシム基は変化せず,AO繊維中に残存していたシアノ基が減少し,カルボキシル基が生成していることが認められた。アルカリ処理時間が長くなるにつれて,弱酸基量,銅吸着量およびウラン吸着速度がいちじるしく増大し,48時間アルカリ処理した繊維は海水から7日間に約2mg/gのウランを吸着した。一方,繊維の単繊維強度はアルカリ処理時間が長くなるにつれて低下し,48時間処理した場合,単繊維強度はアルカリ未処理AO繊維の約半分に低下した。繊維に吸着したウランは0.1mol/l塩酸を用いることにより,15分間で90%,2時間でほぼ100%脱着できた。脱着した繊維は吸着速度が低下することなく再使用できることを確かめた。
  • 朝倉 祝治, 前原 孝史, 和田 厚生
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1460-1465
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素を含む-log a(H+)=0~2の硫酸溶液中の銅の腐食機構の研究を銅(II)イオンを添加した場合と添加しない場合について行なった。反応速度は分極抵抗法によって評価した。その結果,自然腐食している銅の腐食速度はほぼ酸素の分圧の平方根,および銅(II)イオン濃度の平方根に比例し,-log a(H+)=0~2の範囲で水素イオン活量(H+)に依存しないことを見いだした。
  • 吉田 章, 井上 耕三
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1466-1472
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    南九州地方に広く分布するシラス火山灰に固体の水酸化ナトリウムを加.え,300℃ で加熱焼成し,生成する焼成物を用いてホージャサイト型ゼオライトを合成した。シラスは水酸化ナトリウムと280℃ で反応して,メタケイ酸ナトリウムと結晶構造不祥の水溶性アルミノケイ酸ナトリウムAおよびBとなる。
    ホージャサイトの生成は,焼成物と水との混合条件,H2O/Na2Oモル比およびNa4O/SiO2モル比に依存する。焼成物と水を混合してゲルを調製する過程は,ゼオライト結晶の核生成と深い関係があり,静止系では主としてヒドロキシソーダライトが生成し,ゆるやかな混合条件ではホージャサイト型ゼオライトが生成する。はげしく混合するか,または混合時間が長くなると,より安定なP1型ゼオライトの副生が顕著となった。ホージャサイト型ゼオライトの種晶を添加すると,ホージャサイト型ゼオライトの生成領域は広くなるが,その最大生成率は大略70%で,無添加系と大差がなく,非晶質物質が残留した。H2O/Na2Oモル比およびNa2O/SiO2モル比は,生成する固相のSiO2/Al2O3モル比に影響を与え,その条件で生成しうるホージャサイト型ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比と固相のそれとが近接した値をとる場合に,ホージャサイト型ゼオライトの生成率が高く,両者がはなれた値をもつ場合にはホージャサイト型ゼオライトの生成率は低く,非晶質物質の残留率が高いことから,溶融混合物からのホージャサイト型ゼオライトの生成は,主として固相-固相反応によるものと思われる。
  • 木下 真喜雄, 井上 誠
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1473-1478
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ニリン酸ジルコニウムとアルカリ土類酸化物との一連の反応として,ZrP2O7-SrCO3系の反応および生成物について検討した。SrCO3濃度10~80mol%の混合試料を用いて,定温(1300℃,100時間)および昇温(昇温速度10℃mim-1,室温~1400℃)条件で反応を行なった。これら反応における生成物,相変化および熱変化を粉末X線回折や化学分析,示差熱分析,熱テンビンによって調ぺた。定温反応における生成物はSrZr4(PO4)6,SrZr(PO4)2,(ZrO)2P2O7,α-Sr3(PO4)2, 10SrO・3P2O5,ZrO2(単斜および正方晶),SrZrO3およびZrO2-P2O5(無定形相)であった。昇温過程においては,濃度変化に応じて上記生成物に加えてα-Sr2P2O5やSr5(PO4)3OHなども生成し,反応は複雑に進行したが,定温における主要な反応は最終的につぎの式のように表わすことができる。
  • 室住 正世, 中村 精次, 吉田 勝美
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1479-1484
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    空中塵に含まれる鉛化合物の,自然の生態系に対する影響を,鉛の濃度と同位体比を指標として検討した。北海道日高山脈の天然林において,大樹の心材はi基盤岩と近似した鉛同位体比をもつが,外皮,枝葉,また下草,ネズミ,魚などの鉛同位体比は空中塵のそれに近似している。樽前山麓の樹令200年のカツラとアサダの樹幹の横断面における鉛の濃度は心材<辺材<外皮の順であって,鉛の同位体比はその順に基盤岩から空中塵の同位体比に近づく。1ヘクタールの生態系中の鉛量は約4gでその半量が人為源の空中塵が風送されて,生態系のサイクルに加わったものと考えられる。
  • 服部 幸和, 奥村 為男, 久下 芳生, 中本 雅雄
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1485-1491
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    環境中におけるチオジプロピオン酸ジエステル(DETP)の分析法を検討した。DETPは,ケン化後r2,2,2-トリクロロエチルエステル化を行なうことにより,電子捕獲検出器付きガスクロマトグラフを用いて,高感度に定量することができた.
  • 星野 行男, 武田 新一, 浜田 雅樹, 竹野 昇
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1492-1498
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    γ-ピロン〔1〕~〔4〕,クロモン〔5〕~〔15〕,フラボン類〔16〕~〔21〕の21種を合成し,それらの塩基性度を測定した。任意に選んだ8種の誘導体おのおのについて,硫酸一水系中,Hammettの酸度関数石H0を指標として分光光度法によって測定したpKBH+と,複合電極を用い無水酢酸中,過塩素酸の酢酸溶液による電位差滴定法から求めた半中胸電位(HNP)との間に,すぐれた直線性が存在することを見いだした。この場合,電位差滴定法において無水酢酸はこの種の有機弱塩基類の塩基性度に対して,良好な示差能力をもつことが明らかになった。よって他の誘導体についてはすべて電位差滴定法からHNPを測定し,pKBH+を決定した。
    塩基性度の序列は,γ-ピロン>フラボン>クロモンの順であり,さらにピロン環の2-位のメチル基はその塩基性度をいちじるしく増加させ,逆に3-位のメチル基はそれを減少させることが判明した。この3-メチル置換誘導体を除いて,pKBH+とHuckel分子軌道法から計算される塩基-共役酸間のπ-電子エネルギー差,および塩基のカルボニル酸素原子上のπ-電子密度との間に満足しうる相関性が得られた。
  • 福永 公寿, 木村 允
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1499-1506
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の脂肪族第一級および第二級ニトロ化合物〔1〕から調製した〔1〕のaci-形のアルカリ金属塩(aci〔1〕)と硝酸銀,ペルオキソニ硫酸カリウム,および対応するα-ブロモニトロアルカン〔2〕との反応をジメチルスルホキシドを溶媒として行なった。aci 〔1〕とそれぞれの試薬との反応生成物は同じ化合物であることがわかった。〔1〕のうちニトロエタンおよび1-ニトロ-2-フェニルエタンは反応しなかった。アリールニトロメタンでは,アリール基がフェニル誘導体では3,4,5-トリス(置換フェニル)-4,5-ジヒドロオキサゾールN-オキシド誘導体〔4〕が生成し,1-ナフチル誘導体では〔4〕とtrans-1,2-ジ(1-ナフチル)エチレン誘導体〔5〕とをほぼ1:1の生成比で生成した。アリール基が9-アントリル誘導体および9-フェナントリル誘導体ではそれぞれ,9,10-アントラキノン,9,10-フェナントレンキノンを生成した。その他の〔1〕はすべてvic-ジニトロ化合物〔3〕を生成した。これらの結果は,aci〔1〕から反応試剤への一電子移動反応によって生じたラジカルアニオン[aci〔1〕]がアルキル基の種類によって異なる後続反応を受けるためと解釈し,それらの反応機構についての検討を行なった。
  • 小泊 満生, 黒山 豊, 横山 悟郎, 吉冨 末彦
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1507-1511
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    30%NaOH水溶液,ベンゼン,相問移動触媒からなる二相系でのジベンジルジスルフィド〔1〕のアルカリ分解について検討した。相間移動条件下では〔1〕の分解は非常におそく,50℃ で24時間反応させると,低収率ではあるがおもにジチオ安息香酸ベンジル〔2〕が生成し,未反応の〔1〕を89%回収した。同様条件下,塩化ベンジル存在での反応では,約1時間で〔1〕は消失してジベンジルスルフィド〔4〕,ジチオアセタール〔5〕および〔2〕が生成した。塩化ベンジルの添加量を増大すると〔2〕の生成は減少した。また,置換ベンジルクロリドを用いると,対応する非対称スルフィドと非対称ジチオアセタールおよび〔2〕が生成した。4-クロロニトロベンゼン存在では,〔2〕の生成は塩化ベンジル存在の場合よりも増大したが,対応する〔5〕は生成しなかった。
    相間移動条件下での〔1〕のアルカリ分解による〔2〕の生成はつぎのような経路によるものと推定した。まず,ヘミチオアセタール中間体が生成し,これが〔1〕と反応してα-ベンジルチオージベンジジスルフィドが生成する。これは,さらに分解して〔2〕が生成する。ル
  • 橋本 静信, 古川 功, 矢ケ碕 琢也
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1512-1517
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリフェ二ルボスフィン-四塩化炭素系試剤の存在下におけるオキシランまたはケトンの遊離カルボ酸による直接エステル化反応について研究した。生成物はいずれもエノールエステル〔2〕で,副ン生成物とカルボン酸が脱水された酸無水物を若干量生成した。
    オキシラインとカルボン酸の反応では,アセトニトリルのよう極性の高い溶媒を用いると他の溝にくらべ高収率でエステルが得られた。しかるに,ケトンとカルボン酸の反応では,エステルの収率は溶媒の極性による影響を受けなかった,。オキシランに対してトリフェニルボスフィン-四塩化炭素を過剰に使用してもエステルの収率ほほとんど増加しないが,カルボン酸を過剰にするといちじるしく収率は増加した。しかし,カルボン酸の酸性度とエスデルの収率の間には相関関係が認められなかった。また,エノール化し難いケトンとカルボン酸の反応ではエステルは生成しなかった。本反応は,トリフェニルホスフィン-四塩化炭素とカルボン酸より生じるアシルオキシトリフェニルホスホニウム塩〔4〕に対するナキシランまたはケトンの求核攻撃を含む過程で進行すると考えた。
  • 渋谷 勲
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1518-1522
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    あらかじめチオアミドと過酸化水素とから調製したチオアミドS-オキシドと前記のものとは異なるチオアミドとを強酸性溶液中で反応させると,3-および5-位に異なった置換基をもつ1,2,4-ジチアゾリウム塩類を得た。この反応機構について推定した。1,2,4-ジチアゾリウムカチオンのアミノ化合物への反応性を知るためにo-置換アニリン,ベンゾイルヒドラジンおよびベンズアミジンと3,5-ジフェル-1,2,4-ジチアゾリウム過塩素酸塩との反応を試みたところ,多数の含窒素環状化合物が得られた。
  • 広沢 邦男, 森田 幹雄, 佐藤 俊夫, 大内 公耳
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1523-1530
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭分解抽出物などの歴青質を軽質化するための有効な水素化分解触媒を探索する目的で,活性炭匿担持した溶融塩化亜鉛触媒の活性ならびに活性変化を回分実験により検討した。その結果,担体活性炭自体もアントラセン,石炭分解抽出物,石油減圧蒸留残油の水素化分解に対して高活性を示し,とくにヤシ殻CT活性炭は試験した中で最高活性を示し,シリカ-アルミナ触媒よりも高活牲であった。CT活性炭に担持した溶融塩化亜鉛触媒は担体単独触媒やシリカ-アルミナ担持溶融塩触媒よりも上記歴青質の水素化分解,水素化脱硫に高活性であり,効果的に軽質油化することが確かめられた。一方,触媒活性の経時変化は試験した時間内では認め難かったが,触媒上に顕著な亜鉛,硫黄の固定が確認された。
    水素化分解活性が高いこと,触媒再生上の利点も予想されることから,活性炭担持溶融塩触媒はシリカ-アルミナ担持溶融塩触媒よりも好ましいと判断した。
  • 金谷 冨士雄, 徳永 彰, 根来 健二
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1531-1537
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-アルキルアニリン(アルキル基:ヘキシル,オクチル,デシル,ドデシル)の環水素化によって4-アルキルシクロヘキシルアミンを合成した。水素化触媒としては貴金属触媒,とくに5%Ru-Al2O3が有効であった。4-アルキルシクロヘキシルアミンと1,3-プロパンスルトンを無溶媒で反底させ50~80%収率で相当する3-(4-アルキルシクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸〔1〕を合成した。同様の方法で3-(p-ヘキシルアニリノ)-1-プロパンスルホン酸〔2〕と3-(ドデシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸〔3〕を合成した。化合物〔1〕,〔2〕,〔3〕(Na塩)の界面活性を調べた。3-(4-デシル-および4-ドデシルシクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸ナトリウムは硫酸ドデシルナトリウムに匹敵またはそれ以上の界面活性(分散力,乳化力,可溶化力)を示した。また,3-(4-オクチルシクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸ナトリウムは良好な起泡力と浸透力を示した。スルホン酸塩〔2〕はほとんど界面活性を示さなかった。,寝t
  • 金谷 冨士雄, 根来 健二, 高石 日出男
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1538-1545
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    一連の.N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミンオキシド〔-〕(アルキル基:n-C8H17,n-C10H21,n-C12H25,n-C14H29,n-C16H33)と比較物質N,N-ジメチルドデシルアミンオキシド〔2〕およびドデシルピス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム=ブロミド〔3〕を合成した。アミンオキシド〔1〕は潮解性を有する低融点の結晶性物質で,水とエタノールに溶け,ベンゼン,エーテル,四塩化炭素など極性の小さい溶媒に難溶であった。
    水溶液中でのpKa値は2.7~4.5の範囲にあり,CMC値の小さいものほどpKa値も小さくなった。水溶液中での表面張力と電気伝導度の測定からCMCを決定し,さらに起泡力,水への流動パラフィンの乳化,油溶性色素OrangeOTの水への可溶化試験を行なった。その結果,ドデシル体〔1〕(アルキル=n-C12H25,C12-AOと略記)とテトラデシル体〔1〕(アルキル=n-C14H29,C14AOと略記)はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムあるいは硫酸ドデシルナトリウムと同程度またはそれに優る非イオン界面活性荊物質であることがわかった。また,アミンオキシド〔1〕と〔2〕は抗細菌性には劣ったが防かび性にすぐれ,とくにC14-AOと第四級アンモニウム塩〔3〕はペンタクロロフェノールに匹敵する防かび力を示した。
  • 青木 聡, 池田 博昭, 増田 勇三
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1546-1549
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ(アクリル酸メチル)(PMA)のシクロヘキサノン溶液,エチルメチルケトン溶液およびクロロゼン溶液の超音波吸収量を測定した。測定周波数は1~95MHz,測定温度は0~40℃ であった。ベンこれらの系では,独立した緩和スペクトルが得られ単一暖和過程による解析が可能であった。このような緩和現象は,PMA主鎖の局部的な回転優位状態間の異性化平衡に起因することが明らかにされているので,idiadを緩和の構造単位として回転異性化平衡のエネルギー的な検討をした。その結果,見かけの活性化エネルギーΔHは3.9kcalm/olとなり,また,二状態間のポテンシャルエネルギーの差は,縮退条件やエントロピー変化ΔSoの考慮によって異なるが,1~3kcal/molになったΔ。HoFloryらが理論的に算出しNMRや誘電緩和の実験を説明したdiadmodelによる検討を,このような力学緩和現象から得たエネルギー解析値に対しても適用することが可能であった。
  • 神谷 国男, 富沢 敏, 河村 光隆
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1550-1554
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    都市ごみの再生利用をはかる技術システムから排出される無機物残津を焼成して軽搬骨材化するさい,得られる製晶に含有される有害重金履の溶出特性と,焼成処理条件との関係を爽験的に検附した。溶出は水で行ない,その残留物をさらにpH4液で処理した。
    その結果,(1)残沸中に存在する有轡重金属はpHによって溶出する金属の種類が変わり,成形物の水溶出ではクロムのみ溶出が認められ,pH4液ではクロム,カドミウム,鉛が溶出した。(2)焼成温度を高くして無機物残澤の焼結温度以上にすると,溶出値は激減した。またpH4液での溶出でもカドミウムの溶出は見られなくなった。(3)重金属の溶出特性は,焼成過程で焼成物内で起こる種々の酸化還元反応の影響を受け,還元焼成条件になるとpH4液での鉛の溶出が増伽し,水でのCr6+の溶出催は減少する。逆に酸化雰囲気となると鉛の溶出は減少し,Cr6+の溶出は増加した。(4)鉛は焼成物中では還元を受けた場合,金属となり無機物残澤中に含まれるガラス中に固定されにくく,pH4液で溶出される。
  • 柴田 瑩, 山下 伸典, 山下 卓哉
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1555-1558
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The helix-coil transition for copolymers of γ-methyl L-glutamate and either γ-dodecyl Lglutamate or γ-octadecyl L-glutamate in the mixture of chloroform-dichloroacetic acid was investigated by a measurement of optical rotary dispersion. The helix stability for copolymers containing alkyl groups in their side chain is lower than that for poly(γ-methyl L-glutamate)itself and becomes low with increasing the content of alkyl chain residues in copolymers. The alkyl, residues do not provide a better shield for the internally hydrogen-bonded a-helic al backbone. The infrared spectra of the copolymers indicate that they are in ex-helical conformation in the solid state.
  • 管野 善則, 今井 久雄
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1559-1560
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The disproportionation of nitrogen monoxide on MgHY-type zeolites with different degrees of ion exchange was carried out at 15°C by a pulsed microreactor. The catalytic activity remains low in the zeolites with the degrees of exchange lower than ca.55%, but increases markedly with a further increase in the degree of exchange. The result indicates that the active sites for the disproportionation of nitrogen monoxide are the magnesium ions located on Site II of the MgHY-type zeolites.
  • 田渕 研三, 大久保 利彦, 谷垣 禎一, 迫田 直一
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1561-1563
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    In the reaction of acrylic compounds, such as methyl methacrylate and acrylonitrile, with pyridine-bromine complex, crystalline products were obtained along with acrylic compoundbromine adducts. The crystalline compounds could not be obtained from acrylic compoundbromine adducts and pyridine. By 13C-NMR analysis, the crystalline products were identified severally as methyl 2-bromo-2-methyl-3-pyridiniopropionate bromide and 2-bromo-3-pyridiniopropionitrile bromide.
  • 星野 行男, 武田 新一, 浜田 雅樹, 竹野 昇
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1564-1567
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Potentiometric titration in acetic anhydride has been carried out for eighteen flavones which have various substituents on the side-phenyl group ([2]∼[4]), or on the condensed benzene ring ([15]∼[18]), to determine their basicities from half-neutralization potentials (HNP). In both series of the flavones, there is an excellent linear relationship between the pKBH+ values and Brown-Okamoto's σ+ constants. High coplanarity of the side-phenyl group with the benzopyrylium ring system is concluded in the flavylium cation.
  • 平松 光夫, 中野 英彦, 藤波 達雄, 酒井 鎮美
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1568-1570
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Hydrogen transfer from dimethyl 3, 6-dihydrophthalate to p-benzoquinone was catalyzed by tetrakis(triphenylphosphine) palladium ( 0 ) or ( p-benzoquinone)bis (triphenylphosphine) pall adium ( 0 ) [5]. Cyclic voltammograrris for free p-benzoquinone and its palladium complex [5] showed that the reduction potential for p-benzoquinone shifted toward the negativ e value by the coordination to palladium( 0 ). Thus the hydrogen transfer is concluded to proceed through the reaction of free p-benzoquinone with dimethyl 3, 6-dihydrophthalate activated by the complex [5].
  • 五十嵐 繁
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1571-1573
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Methanol was oxidized potassium permanganate to formaldehyde which was then colorimetrically determined by chromotropic acid. As an addition of 1-aminoethanol or ethanol in the oxidizing reagent increased the sensitivity for the colorimetric determination of methanol, the effect of the addition of 1-aminoethanol on the oxidation behavior of methanol and formaldehyde in KMnO4-H2SO4 solution was studied. The effect of the added aliphatic alcohols other than ethanol was also examined for the determination of methanol.
    The results are as follows. ( 1 ) An addition of 1-aminoet hanol promoted 'oxidation not only of methanol but also formaldehyde. ( 2 ) The addition of normal primary alcohols such as 1-propanol, 1-butanol, 1-pentanol and 1-hexanol increased the sensitivity by about five times. ( 3 ) The addition of t-butyl alcohol and 2-pentanol interfered with the methanql, determination.
  • 栗栖 安彦, 福久 達也
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1574-1575
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Molybdenum powder and molybdenum trioxide were seperately treated with hydrogen peroxide. The products(abbreviated as Mo-y) were found by iodometry to contain active oxygen. Cyclohexanone oxime were converted quantitatively to the corresponding ketones by Mo-y under mild conditions (75°C, 40 h).
  • 辰巳 敬, 吉田 肇, 奥田 修, 冨永 博夫, 鈴木 守夫, 加藤 順
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1576-1578
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Taching atmospheric residuum was hydrotreated over a CoO-Mo08-Al203 catalyst to effect 29% removal of nitrogen. The residuum showed the paraffin-rich property and was characterized by a low concentration of asphaltenes. Hydrotreatment resulted in an increase in the amount of asphaltenes and a four-fold increase in its nitrogen concentration (Table 1). Nitrogen type analyses of the feed revealed that more pyrroles and fewer pyridines were present than those in Khafji residuum. During hydrotreatment there was no marked difference inthe degree of removal between these two types of nitrogen compounds, while amide compounds were very facile to remove (Fig.1). t Behavior of Nitrogen Compounds during Hydrotreatment of Petroleum Residua. III.
  • 西 久夫, 畑田 祐一, 北原 清志, 室井 希志
    1982 年 1982 巻 9 号 p. 1579-1581
    発行日: 1982/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A novel procedure for the synthesis of [6] has been developed. The condensation of chloranil [1] with aniline in ethanol in the presence of sodium acetate gave 2, 5-dianilino-3, 6-dichloro-1, 4-benzoquinone [3a] in good yield. The reaction of [3a] with zinc 2-aminobenzenethiolate [4a-f] in DMF afforded 6, 13-triphenodithiazinequinone [6a-f] as blue to green powder. Compounds [6] showed high decomposition points as revealed by DTA. UV and visible absorption spectra of compounds [6] measured in H2SO4 revealed bathochromic shifts by the introduction of the substituents as compared with unsubstituted compound [6 a].
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