南九州地方に広く分布するシラス火山灰に固体の水酸化ナトリウムを加.え,300℃ で加熱焼成し,生成する焼成物を用いてホージャサイト型ゼオライトを合成した。シラスは水酸化ナトリウムと280℃ で反応して,メタケイ酸ナトリウムと結晶構造不祥の水溶性アルミノケイ酸ナトリウムAおよびBとなる。
ホージャサイトの生成は,焼成物と水との混合条件,H
2O/Na
2Oモル比およびNa
4O/SiO
2モル比に依存する。焼成物と水を混合してゲルを調製する過程は,ゼオライト結晶の核生成と深い関係があり,静止系では主としてヒドロキシソーダライトが生成し,ゆるやかな混合条件ではホージャサイト型ゼオライトが生成する。はげしく混合するか,または混合時間が長くなると,より安定なP1型ゼオライトの副生が顕著となった。ホージャサイト型ゼオライトの種晶を添加すると,ホージャサイト型ゼオライトの生成領域は広くなるが,その最大生成率は大略70%で,無添加系と大差がなく,非晶質物質が残留した。H
2O/Na
2Oモル比およびNa
2O/SiO
2モル比は,生成する固相のSiO
2/Al
2O
3モル比に影響を与え,その条件で生成しうるホージャサイト型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3モル比と固相のそれとが近接した値をとる場合に,ホージャサイト型ゼオライトの生成率が高く,両者がはなれた値をもつ場合にはホージャサイト型ゼオライトの生成率は低く,非晶質物質の残留率が高いことから,溶融混合物からのホージャサイト型ゼオライトの生成は,主として固相-固相反応によるものと思われる。
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