日本化学会誌(化学と工業化学)
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リボソーム系におけるクロロフィリンの光化学的性質と膜を通しての電子輸送
日高 誠司松本 英三戸田 不二緒
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1985 年 1985 巻 4 号 p. 757-762

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抄録

クロロフィリン(Chln)は,クロロフィルと異なりフィトール基を有しないため,水溶盤であるが,リボソーム系に添加すると,脂質分子との相互作用により,脂質._.,分子膜の親水領域に取り込まれた。光照射下では,690nmに吸収極大をもつ Chln'に変化した。この変化は不可逆であり,K3[Fe(CN)6]の添加により同様に Chln'に変化した。しかし,電子供与体の存在下では,光照射によるChln'の生成は搾えられた。これらの結果から,Chln'は,Chlnの光酸化物と考えられる。
また,内水相に MV2+,外水相にグルタチオンを含むリボソーム系において,光照射により MV2+ の還元が観測された。スペクトル変化から,ChIn だけでなくChln'も光増感作用を有することが示唆された。

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