1985 年 1985 巻 4 号 p. 767-770
種々の溶媒中,少量の四塩化炭素(CCl4)を連鎖移動剤として添加し,スチレン,メタクリル酸メチル(MMA)および酢酸ビニル(VAc)のラジカル重合を行ない, CCl4 への連鎖移動定数(Ct)を決定した。スチレン, MMA および VAc とも Ct の溶媒による変化は小さいことがわかった。 Ct と生長速度定数(kp)から引き抜き速度定数(kabs)をもとめたところ,スチレンおよび MMA では kabs の溶媒による変化はほとんど認められないのに対し, VAc では溶媒により kabs がいちじるしく変化し,またこの kabs と kp の間には比例関係が見られた。このため VAc でも Ct の溶媒効果が小さくなることがわかった。これらの結果から,溶媒により生長ラジカルが安定化し,有効ラジカル濃度が変化という概念が支持された。
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