日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
スチレン,メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルのラジカル重合における連鎖移動反応におよぼす溶媒効果
山本 統平山本 忠弘広田 正義蒲池 幹治野桜 俊一
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1985 年 1985 巻 4 号 p. 767-770

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抄録

種々の溶媒中,少量の四塩化炭素(CCl4)を連鎖移動剤として添加し,スチレン,メタクリル酸メチル(MMA)および酢酸ビニル(VAc)のラジカル重合を行ない, CCl4 への連鎖移動定数(Ct)を決定した。スチレン, MMA および VAc とも Ct の溶媒による変化は小さいことがわかった。 Ct と生長速度定数(kp)から引き抜き速度定数(kabs)をもとめたところ,スチレンおよび MMA では kabs の溶媒による変化はほとんど認められないのに対し, VAc では溶媒により kabs がいちじるしく変化し,またこの kabs と kp の間には比例関係が見られた。このため VAc でも Ct の溶媒効果が小さくなることがわかった。これらの結果から,溶媒により生長ラジカルが安定化し,有効ラジカル濃度が変化という概念が支持された。

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