日本化学会誌(化学と工業化学)
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カーボン電極表面の陽極酸化処理とクロルプロマジンの酸化反応に対する活性化効果
高村 喜代子井上 哲楠 文代
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1985 年 1985 巻 6 号 p. 1035-1041

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抄録

陽極酸化処理を施したカーボン電極によりクロルプロマジン(CPZ)のサイクリックボルタンモグラムを測定すると,未処理カーボン電極による場合にくらべてCPZの酸化ピークが増大した。とくに顕著な増大は,リン酸塩,ヒ酸塩,酒石酸塩,クエン酸塩などの溶液中で処理したガラス質カーボン電極を用いた場合に見られた。ピーク電流値は電極処理時の共存電解質の種類のほかに,pH,電解電位および時間により大きく相違した。陽極酸化処理にともなって,処理時に共存する陰イオンに由来する化学種が電極表面に導入されていることが,電極表面から得た削粉の比色分析ならびに赤外吸収スペクトル,あるいはESCAなどの観察から認められた.したがって,導入された表面化学種がCPZの電極反応に対して活性化効果をもたらすと考えられる。これについては,表面化学種がCPZの吸着を助長してCPZの表面濃度を増加させ,さらにその表面化学種が触媒的に作用してCPZの酸化反応を促進するのであろうと推定した。また,処理時の共存イオンの構造と活牲化効果発現の関連について考察した。

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