日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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ホルミル基を有する高分子樹脂とタンパク質の相互作用
平井 洋平中村 勝則北野 博巳
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1985 年 1985 巻 6 号 p. 1042-1049

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抄録

スチレンージビニルベンゼン共重合体である多孔性樹脂中に,Friedel-Crafts反応を用いて簡単にホルミル基を導入する手法を開発した。これを用いてウシ血清アルブミンやウシ血清γ-グロブリンを含む水溶液からのタンパク質の結合除去性能の検討を行なった。導入したホルミル基の量や実験時のpHなどを変えて結合挙動をみた結果,疎水性相互作用によりタンパク質が樹脂に吸着された後にタンパク質中のアミノ基とホルミル基間のSchiff塩基形成によってタンパク質が樹脂に強固に結合されることが判明した。低分子物質の吸着実験の結果もこれを支持していた。いったん結合したタンパク質は酸,アル力リ,尿素によっては溶出せず非常に強く結合していた。ここで調製した樹脂に酵素としてアルカリホスファターゼを結合させたところ,その操作安定性は良好で固定化酵素用担体としての有用性も示された。また調製した樹脂を充填したカラムからのタンパク質溶液の流出曲線にっいて理論的解析も試みた。

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