日本化学会誌(化学と工業化学)
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無水マレイン酸-イソブテン共重合体とポリエチレンイミンからの複合樹脂の合成とその性質
宇佐美 四郎長谷川 淳高田 京子内藤 龍之介内田 浩史狐塚 寛
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1985 年 1985 巻 9 号 p. 1763-1769

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抄録

無水マレイン酸イソブテン共重合体にポリエチレンイミンを反応させ,100℃ 以下で加熱処理して得られた複合樹脂は窒素とカルボキシル基との当量比(以下N/COOHと略記する)の変化によって選択的イオン吸着特性を示す。すなわち,NICOOHが1より小さい樹脂はCu2+,Pb2+のような金属陽イオンの吸着能に優れ,NICOOHが1より大きい樹脂はCl-,CrO72-,Ag(CN)2-のような陰イオン,金属錯陰イオンをよく吸着する特性を示し,またウラン水溶液よりウランに対する優れた選択吸着性をもつ。たとえばN/COOH 1.79の樹脂は75ppmに調整さたウラン溶液の場合100mgU/g-dry・R以上の吸着能を示し,一方,海水中の微量ウランをも吸着する。X線マイクロアナライザーによる分析からNICOOH 1.79樹脂が海水(pH5.3~6.0に調製)中で吸着した元素は硫黄,塩素の陰イオンとウランが主成分であり,マグネシウム,カルシウムなどの陽イオン,臭素,ヨウ素の陰イオン系の吸着は認められなかった。臭素,塩素が吸着されないのは多量に存在する塩素の競争反応によるものである。ウランの吸着機構に関してはさらに実験結果をかさね検討を行なう予定である。

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