日本化学会誌(化学と工業化学)
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1H,ωH-1-lodoperfluoro-1-alkenesの合成とその反応
山中 寛城荒木 孝之桑原 正樹福西 興至野村 元昭
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1986 年 1986 巻 10 号 p. 1321-1328

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抄録

RfCF=CHI〔1a~c〕と種々の塩基との反応によるRfCF=CHl〔2a~c〕(Rf:a)HCF2,b)H・(CF2)3,c)H(CF2)5)の合成および〔2〕と求核試薬,金属あるいは有機金属化合物との反応について検討した。〔2a〕は水とDMSOの混合溶媒中,〔la〕とKOHとの反応によって,また,〔2b,c〕はエタノールとDMSOの混合溶媒中,〔1b,c〕とC2H5ONaとの反応によって高収率(83~89%)で得られた。生成した〔2〕はいずれもZ構造をもつものだけであった。
〔2a〕はDMSO中,室温でRO-(R=CH3,C2H5,CF3CH2)と容易に反応し,〔2a〕の二重結合炭素に直結したフッ素とROが置換した化合物〔5a〕を与えたが,ヨウ素と置換した生成物は得られ なかった。これに対し,〔2〕とRS-との反応ではフッ素とヨウ素の両方がRSと置換した生成物〔7〕だけが得られた。〔2〕に2倍モル量のGrignard試薬を反応させたのち,ベンズァルデヒドや二酸化炭素を作用させて,それぞれ,相当する2-アルキン-1-オール〔9〕やカルボン酸〔10〕を良好な収率で得た。また,超音波照射下,〔2〕および〔5a〕に亜鉛と二酸化炭素を作用させて,それぞれ,相当する含フッ素α,β-不飽和カルボン酸〔11〕および〔12a〕を得た。この反応は立体特異的に進行し,〔2〕および〔5a〕の立体配置が保持された〔11〕および〔12a〕が生成した。

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