日本化学会誌(化学と工業化学)
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ホウ酸塩ガラスの構造と塩基度に対する分子軌道法からのアプローチ
内田 希前川 尚横川 敏雄
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1986 年 1986 巻 11 号 p. 1414-1424

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抄録

半経験的分子軌道法MNDOを二元系ホウ酸塩ガラスに適用し,その構造と塩基度に対する考察を進めた。ホウ酸塩ガラス中に存在するとされるpentaborate,triborate,diborate構造のクラスターを組み立て構造の最適化を行なった。計算結果は実験的に決定された構造をよく再現した。四配位ホウ素(4B)あるいは非橋かけ酸素(NBO)の形成にともなうB-O結合長の変化は電荷の移動と対応し, Gutmannの結合長変化則による予想と一致した。これらを基に分子式[H8B12O23]2-をもち種々の組成における構造を反映した異性体を組み立てた。これらのクラスター中の,軌道相互作用による非局在化エネルギー,Sparkle親和力,陽子親和力を求め塩基度の尺度とした。ハードおよびソフト酸・塩基の考え方にしたがった場合,クラスター中のBO4-構造単位はハード塩基に分類され・非橋かけ酸素はむしろソフト塩基に分類された。二元系ホウ酸塩中の4Bの安定性は対となる塩基性酸化物の種類に依存し,アルカリ酸化物とH2Oの場合で大きく異なることが示された。

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