日本化学会誌(化学と工業化学)
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新マクロライド抗生物質ノトネソマイシンの構造研究
大岳 望
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1986 年 1986 巻 11 号 p. 1579-1586

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抄録

ノトネソマイシンAは,Streptomyces aminophilus subsp.notonegenes647-AV1の生産物であり,イネ紋枯病に対する有効物質検索の過程で発見された抗かび性抗生物質である。
ノトネソマイシンAは,C68H109NO30SNa2の分子式を有し,mp194~195℃,〓310nm(ε9700),〓3400,1720,1700,1600と1080cm-1の諸性状を示す。1H-NMRおよび13C-NMRのデータから,マクロライドであること,配糖体で芳香環置換基が含まれていることが判明した。分解反応により,2,6-ジデオキシ-4-O-メチル-α-D-アラビノニキソピラノースとL-rhodinoseが構成成分であることが判明した。主として,1H-NMRと13C-NMRによるスピンデカップリング実験,NOE実験,差スペクトル測定およびCOSYなどのスペクトルデータと13C-13C二重ラベル実験により,ノトネソマイシンAの構造がユニークな32員環マクロライドで硫酸エステルが置換している化合物であることを決定した。

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