1986 年 1986 巻 12 号 p. 1778-1781
各種の非水溶媒中で1-ナフトールとp-ニトロベンゼンジアゾニウム=テトラフルオロホウ酸塩を20℃で反応させ,生成する異性体比におよぼす溶媒の影響を調べ,反応機構を推察した。メタノール,エタノール,1-プロパノールおよび酢酸のような極性の大きいプロトン性溶媒中での2-アゾ色素の生成比は3~5%と小さく,一方,ベンゼン,トルエン,シクロヘキサン,ジクロロメタンおよび四塩化炭素のような極性のきわめて小さい非プロトン性溶媒中では13~30%と比較的大きな値となった。これは反応が水溶液中と同様のSEAr機構で説明され,すなわち4-アゾ色素生成における塩基触媒効果が非常に大きいために塩基性の大きい(極性の大きい)プロトン性溶媒で4-アゾ色素生成量が増加し,塩基性の小さい(極性の小さい)非プロトン性溶媒で4-アゾ色素生成量が減少するためと解釈された。
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