日本化学会誌(化学と工業化学)
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多孔質ガラスの細孔構造と気体透過能
矢沢 哲夫田中 博史江口 清久
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1986 年 1986 巻 2 号 p. 201-207

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抄録

細孔半径を10~12nmと一定にして, 詳細孔容積を, 0.157~0.817cm3/gの範囲で変化させた6種類の多孔質ガラスを用いて, 水素, ベリウム, 窒素, メタン, 二酸化炭素, エチレンの透過分離特性を検討した。細孔容積が0.157cm3/gの多孔質ガラスの透過速度は, ほとんど測定できないほどわずかであった。細孔容積が大きくなるにつれて気体の透過速度は飛躍的に増大する。細孔容積が, 0.817cm3/gの多孔質ガラスでは, 水素の透過速度は1.88×10-7m3(STP)/m2・s・Paであった(膜圧:0.5mm)。この値は亀由らの報告した値の約500倍である。細孔容積が, 0.4cm3/gを超える多孔質ガラスを用いた場合, 気体は, 分子流の機構で透過する。細孔容積が0.4cm3/g以下の多孔質ガラスの場合, 二酸化炭素, エチレンについては若干表面流の透過機構がつけくわわる。低い空隙率を有する多孔質ガラスの細孔経路は非常に複雑である。

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