脂質膜に対するシクロデキストリン(CD)の膜破壊性を卵黄レシチンとコレステロールのモル比の異なるリボソームの内水相に水溶性マーカー(カルセイン)を内封させ,外水相に種々の濃度の異なったCDを加え,マーカーの外水相への漏出から調べた。卵黄レシチンのみからなるリボソームでは,ジ-0-メチル-β->α->β->トリ-0-メチル-β->γ-CDの順に膜破壊性が強く,それぞれコレステロールとレシチンを42モル%含むリポソームでは,ジ-0-メチル-β->β->α->r>トリ-0-メチル-β-CDの順になった。一方,ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)または,コレステロール単分子膜の水相に,α-,β-,γ-CDを加え表面圧の経時変化を調べた。DMPC膜ではα->β->γ-CDの順にく表面圧の減少が大きく,コレステロール膜ではβ->γ->α-CDの順に大きく減少した。これらの結果から,メチル化されていないCDでは,主として内空孔の大きさにより,メチル化されたCDでは内空孔の大きさと,分子のもつ疎水性も関与して,脂質膜中の分子を認識し,包接体を形成し膜破壊をすることが明らかになった。
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