日本化学会誌(化学と工業化学)
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フラックス法によるβ-アルミナ単結晶の育成
住吉 義博潮 真澄西村 正美
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1987 年 1987 巻 6 号 p. 1001-1008

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抄録

Na3AlF6-NaFフラックス法にてβ-Al203の結晶育成とその育成条件を検討した。母剤にはα-Al203,またはβ-Al203を用いた。Na3AlF6フラックスを蒸発させた場合と,Na3AlF6フラックスにNaFを添加した場合の二通りの方法を行なった。前者の方法では,Na3AlF6フラックスを1050℃で30wt%以上蒸発させると,β-Al203結晶が成長した。しかし,Na3AIF6-NaFフラックスを用い,β-Al203を母剤とした場合は,NaFを20wt%添加したときにβ-Al203が成長した。一方,α-Al203を母剤とすると,NaFを30wt%以上添加しないとβ-Al2O3結晶が成長しなかった。β-Al203結晶の成長速度とNaF量との関係から,β-Al203結晶を成長させる最適条件は,Na3AlF6フラックスに20wt%NaFを添加したときである。Na3AlF6-20wtNaFフラックスを用い,1041℃ で温度差1.9℃ の条件下で成長したβ-Al203単結晶の線成長速度は,c面で約1.3×10-3,a面で約1.5×10-3mm/hであった。Na3AlF6フラックスの場合は,同温度で温魔差が0.6℃ のとき,c面とa面の線成長速度はそれぞれ約3.8×10-3と4.6×10-3mm/hであった。成長したβ-Al203単結晶はc{001}とa{100}のみで取り囲まれ,そして無色透明であった。透過Laue写真から,その結晶性は良好であった。

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