日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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トリフェニルスタンナン-ラクタム錯体の溶液状態における性質
田原 董藤野 淳二瀬戸 浩二
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1987 年 1987 巻 9 号 p. 1712-1718

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抄録

クロロトリフェニルスタンナン(またはイソチオシアナトトリフェニルスタンナン)-ラクタム錯体の溶液状態における姓質をIRスペクトル,および119Sn-,1H-NMRスペクトルを用いて検討した。これらの錯体の固体状態(KBr disk)でのIRスペクトルにおけるカルボニル伸縮振動υc=o がもとのラクタムのυc=oにくらべて30~44cm-1低波数側にシフトしていたのに対し,溶液状態(ベンゼン,四塩化炭素,およびクロロホルム溶液)トでは,もとのラクタムのυc=oと錯体のυc=oの2本の吸収帯が現れた。
また,これらの錯体の119Sn-NMRスペクトルのシグナルは,四配位スズ化合物と五配位スズ化合物の中間に位置し,ラクタムを添加してゆくとシグナルは五配位側にシフトした。溶液内でのこれらの錯体のズズ原子に結合しているフェニル基のオルト位 1H-NMRスペクトルの化学シフトの変化を追跡して,これらの錯体の四塩化炭素溶液中での平衡定数を求めた。

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