日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
2-ピロン-5-カルボン酸エステルとエチレン置換体との[4+2]付加体とベンゼン誘導体の合成
下茂 徹朗村岡 富美子染川 賢一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 1989 巻 10 号 p. 1765-1771

詳細
抄録

3種の2-ピロン-5-カルボン酸エステルと鎖状ビニルエーテル類とのDiels-Alder(DA)反応を60~80℃で行い,それぞれ主生成物の6種のen40-8-アルコキシ-3-オキソ-2-オキサビシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-6-カルボン酸エステル(endo一体)〔1〕と6種のexo一体(2)を得た。また,2-ピロン-5-カルボン酸メチルと環状ビニルエーテルである2,3-ジヒドロフランとの反応では9-オキソ-3,8-ジオキサトリシクロ[5,2.2.02,6]ウンデク-10-エン-11-カルボン酸メチル(endo一体)〔3〕とexo一体〔4〕を得た。いずれも付加配向は特異的で生成物は安定である。一方,フマロニトリルとの反応はより高温条件を必要とし,endo-7,exo-8-ジシアノ-3-オキソ-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-6-カルボン酸メチル〔5〕を与え,テトラシアノエチレンと廉反応しなかった。その他定量的分析およびMINDO/2からの計算も行い,2-ピロン-5-カルボン酸エステルは逆電子要求型のDA反応性をもつこと,および反応点の立体効果および極性効果を受けることなどが推定された,また二,三のDA付加体の加水分解を行い,この方法ではベンゼン環のメタ位二置換もしくは1,3,5-三置換のポリカルボン酸誘導体が選択的に得られることがわかった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top