日本化学会誌(化学と工業化学)
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橋かけ鎖上に異なる置換基を有ずる 2,11-ジアザ [3.3]パラシクロ(9,10)アントラセノファンのホトクロミズム
碓井 正雄西脇 徹案田 欣二飛田 満彦
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1989 年 1989 巻 2 号 p. 237-243

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抄録

黄緑色で水色蛍光を発するジアザバラシクロアントラセノファン[1] は光照射によって無色で無蛍光性の分子内光環化物となり, 加熱あるいは短波長光照射によってもとのシクロファンに復帰した。それらの反応性は橋かけ鎖上の置換基(R)の種類によつて大きく異なった。すなわち, 光環化反応の量子収量(Φr(N2))および光環化反応過程の速度定数 (kr)は R=-CHO, -H, -SO2φ, -COCH3, -CO(CH2)3CH3, -COCF3, -CH3, -COC(CH3)3 の順序で増加したが, 加熱による逆反応の速度定数 (k)はこの順序で減少した。誘導体間での Φr(N2), kr およびkの違いはそれぞれ, 最大61倍, 600倍および570倍であった。これらの反応性の順序は前報で報告した電子スペクトル上の微細構造の消失の程度および蛍光量子収量の低下の順序と一致した。反応性およびスペクトル特姓におけるこれらの違いの要因としては置換塞の立体効果および橋かげ鎖上の窒素原子の混成の違いが考えられる。

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