日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
ゼオライトによる放射性セシウムとストロンチウムの除去
三村 均山岸 功秋葉 健一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 1989 巻 3 号 p. 621-627

詳細
抄録

放射能高汚染水中のCsとSrの処理処分法を確立するため, 各種ゼオライトを充填したカラムについてCsとSrの漏出特性を検討した。
CsとSrの漏出におよぼす流速(SV)の影響は大きく SV25 で良好なS字形の漏出曲線が得られた。Csにおいては, いずれのゼオライトでもほぼ対称で良好な漏出曲線が得られた。一方, チャバザイトとモルデナイトのカラムからの Sr の漏出では, 流出液中の Sr 濃度が一時的に初期濃度を超え, 漏出比 C/C0が1以上となる“濃縮現象”が観察された。これらゼオライトに対するCsの選択性が高いため, いったん吸着した Sr が Cs により脱着され溶離したためである。濃縮現象は交換吸着が犬きく低下する要因となる。
Csに選択性の高いチャバザイト(C)とモルデナイト(M), Srに選択性のあるXとAゼオライトを用いて, これらを混合した混合ゼオライトの漏出特性をその混合比を変えて調べた。CsとSrの漏出が開始するまでの貫流交換容量をくらべると, C/X=1/3の混合系でもっとも高く, 一括除去の混合系として有効である。混合系の全交換容量は加成性が成立ち, 単独ゼオライトの値から容易に推定できる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top