日本化学会誌(化学と工業化学)
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非イオン性高分子のモンモリロナイト系粘土鉱物への吸着
趙 小夫浦野 紘平小笠原 貞夫
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1989 年 1989 巻 4 号 p. 744-749

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抄録

ポリエチレングリコール, ポリアクリルアミド, ポリ(ビニルアルコール)などの非イオン性高分子のモンモリロナイト系粘土鉱物への吸着等温線を求め, 粘土鉱物の層間交換イオンや物理構造の影響および高分子有機物の分子量や化学構造の影響について検討した。
これらの3種類の非イオン性高分子の分子量2000以上のものに対して, モンモリロナイト系粘土鉱物は活性炭に近いかあるいはそれ以上の吸着性を示した。Na型のモンモリロナイトやNa型のベントナイトのような親水性の強い粘土鉱物は, 無機性値の大きい (極性の大きい) 有機物に対して高い吸着性を示した。Ca 型のベントナイトおよび酸性白土, 活性白土のような親水性が弱い粘土鉱物は, 活性炭と同じく無機性値の小さい有機物に対して高い吸着性を示した。
ポリエチレングリコールとポリ(ビニルアルコール)の吸着前後の結晶底面間隔をX線回折で測定したりところ, Na型のモンモリロナイトの場合には結晶底面間隔が約 9Å大きくなり, 高分子有機物が結晶層間に侵入することが認められた。一方, Ca型のベントナイトの場合には, 吸着による結晶底面間隔の増大が見られず, 高分子有機物の結晶層間への侵入は認められなかった。

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